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内耳再生O細胞治療の応用(内耳再生以外へ)

- 内耳再生医療・手術ついて

 

内耳への薬物投与の問題点

 種々の障害による感音難聴を治療あるいは予防する目的で薬物の投与が行われています。実験レベルでは、内耳(ナイジ)の蝸牛(カギュウ)にある大切な細胞(有毛細胞やラセン神経節)が障害され、死んでしまうのを防ぐことができる薬物がわかってきています。しかし、これらの研究成果を実際の治療に用いる際の障壁の1つになっているのが、いかにして内耳に薬物を効果的に投与するかということです。
 もう1つの問題は、十分に薬物が効果を発揮できる間、内耳に薬物を投与し続ける必要があるということです。特に障害に対し予防的な投与を考えると、この問題は重要になります。


蝸牛の構造(断面図)

蝸牛の構造(断面図)

 

細胞移植による薬物投与

 移植した細胞が投与したい薬物を放出してくれれば、長期的、持続的な薬物の投与が可能となります。すでに、パーキンソン病やアルツハイマー病など脳の病気で、この方法が応用できないかということが研究され、一部臨床試験も行われようとしています。パーキンソン病では、脳内で不足するドーパミンという物質を供給する目的で、アルツハイマー病では神経細胞を保護する神経栄養因子を投与する目的で細胞移植が応用されています。

 

細胞移植による内耳への薬物投与

 これまでの研究でいくつかの細胞が、内耳(ナイジ)に移植されて生着する能力があることがわかっています。このような細胞が薬物の運送屋の役割をはたしてくれれば、内耳でも細胞移植による薬物移植による薬物投与が期待できます。神経幹細胞は内耳で生き続けることが報告されていますが、内耳に移植された神経幹細胞の多くはグリア細胞という細胞になっていることがわかっています。グリア細胞は、神経細胞の仲間の細胞で、ちょうど有毛細胞が神経細胞とすると、支持細胞がグリア細胞という関係にあります。グリア細胞は、もともと神経栄養因子を作ることが知られていますが、内耳で生着している移植細胞を良く調べてみると、有毛細胞やラセン神経節細胞を障害から守る効果を持つ神経栄養因子を作る能力があることがわかりました。つまり、神経幹細胞を内耳に移植することにより、内耳に持続的に神経栄養因子を投与することができるわけです。
 内耳(ナイジ)に生着できる他の細胞にも、この役目を果たせる可能性があります。たとえば、骨髄(コツズイ)から採った間葉系細胞に体外で神経栄養因子をたくさん作るように操作を加えてから内耳に移植すると、神経栄養因子を放出させることが期待されます。この細胞であれば、自分の身体から比較的簡単に採取することができますので、臨床への応用の可能性もずいぶんと高いものになります。このように細胞移植により内耳の細胞を保護したり、再生を助けたりする可能性は十分にあると考えられています。

有毛細胞(蝸牛内部)の構造

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