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内耳再生D遺伝子治療の現状と可能性

- 内耳再生医療・手術ついて

 

遺伝子治療の現状

 現実には、身体のすべての細胞の遺伝子を元通りに修復したり、正確に設計図の傷のある場所のみを取り除いて正常の遺伝子を導入(組み込み)して、遺伝子を修復することは困難です。そこで、現在、おこなわれている遺伝子治療は、あらかじめ体内から取り出した細胞に遺伝子を導入して、遺伝子の異常によって作られなくなっているタンパク質を作り出しているようにして体内に戻すという方法です。
 日本ではじめて実施された遺伝子治療は、この手法によるもので、ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症という免疫不全疾患に対するものでした。また、広い意味での遺伝子治療として、遺伝病の治療だけでなく、癌(ガン)細胞に対し、その細胞を殺すような遺伝子を導入することもおこなわれています。人間に対して今までおこなわれている遺伝子治療は、いずれも、一時的な症状改善はあるものの完全治癒に至った例はありません。
 アメリカでは、はじめて遺伝子治療による死亡者が出たことから、アメリカの遺伝子治療は一時停止しました。また、フランスでおこなわれた遺伝子治療により癌が誘発された例もあります。このように、まだ始まったばかりの分野ですので、人間に対する臨床応用には時間がかかると思われています。

 

内耳遺伝子治療の可能性

 内耳(ナイジ)に対する遺伝子治療としては、タンパク質である神経栄養因子の遺伝子を内耳に直接投与することによって、神経栄養因子が作られるようにして神経を保護し、難聴を予防するという、モルモットなどを用いた実験があります。内耳は、他の臓器と異なり、骨に囲まれており、周囲とは隔絶されているので、アメリカやフランスの臨床の場で報告された全身的な副作用も少ない状態で遺伝子治療を行うことができる利点があります。
 内耳治療は、このように遺伝子治療の良い対象となりえると思われます。内耳での有毛細胞の再生を促すようなタンパク質を、遺伝子を導入することによって内耳の中に投与する手段や、再生を妨げているタンパク質を機能しないようにする手段として、遺伝子治療を用いたりすることで、内耳有毛細胞の再生が実現する可能性もあります。
 現在でも、実験的には内耳に遺伝子を導入することは可能となっています。しかし、内耳の細胞には遺伝子が入りにくく、遺伝子の運び手としてたとえば、ウイルスなどを使わないと遺伝子が十分に入りません。遺伝子導入に使ったウイルスが内耳に障害をもたらす危険性も指摘されており、まだまだ解決しなければならない問題がたくさんあります。

内耳遺伝子治療

 

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