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遺伝性難聴の原因:難聴と遺伝子(遺伝性)

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遺伝子と病気の関係性

 最近は、遺伝子とか遺伝子治療とか言った言葉もマスコミなどでよく耳にするようになりました。遺伝子はよく設計図にたとえられます。この遺伝子の情報に基づいて作られたタンパク質で我々の身体は構成されています。ヒトが病気になるには、環境や外界の影響ももちろん大きいのですが、この遺伝子、つまり自分自身の体質のようなものの影響もあるのです。遺伝子に異常があると、少しおかしなタンパク質ができてしまいます。他のタンパク質がこの異常を補える場合は、特に何も症状が起こらないこともありますが、重要なタンパク質に異常をきたすと様々な症状が出現します。

 

遺伝子と難聴の関係性

 音を感じるというのは、様々なタンパク質が複雑に機能する非常に高度な仕事でもありますので、ほんの少しのタンパク質の異常でも聞こえなくなってしまいます。他の臓器には何も異常はなくても難聴だけが起こってしまう遺伝病もたくさんあり、これを非症候性難聴(ヒショウコウセイ・ナンチョウ)と言います。もちろん、他の臓器の異常に難聴が伴なう場合もたくさんあり、これは症候性難聴(ショウコウセイ・ナンチョウ)と言います。
 ヒトには、染色体が2本あります。父親から1本、母親から1本を受け継ぎます。それぞれの染色体に遺伝子があるので、ヒトは遺伝子を2組持っていることになります。この2つの遺伝子のうち、片方だけが異常でも症状が出る場合を優性遺伝と言います。
 一方、片方だけの異常では症状は出ず、2つとも異常ではじめて症状が出現する場合を劣性遺伝と言います。遺伝性難聴では、この劣性遺伝の形式をとるものが少なくありません。劣性遺伝では、難聴の出ていない両親から遺伝性難聴が生まれてくる可能性が十分にあります。家族に難聴者がいないからと言って安心はできません。

 遺伝性難聴(イデンセイ・ナンチョウ)と言えば、生まれたときから全く聞こえないイメージがあるかも知れませんが、そうとも限らないのです。はじめはよく聞こえていたのに徐々に難聴になってしまうものもあります。他の要因が加わると難聴になりやすくなってしまうものもあります。たとえば、アミノグリコシド系抗生物質には内耳毒性があることがよく知られています。この薬の副作用で難聴になってしまうことがあるのですが、その頻度は高くありません。しかし、ある遺伝子の異常があると、その人はアミノグリコシドを投与されることによって高い確率で難聴になってしまうのです。

 

遺伝性難聴の治療

 残念ながら、現在ではまだ遺伝性難聴に対する有効な治療法は確立されていません。遺伝子検査には、様々な倫理的問題もありますが、このアミノグリコシド系抗生物質による難聴を起こしやすくする遺伝子などは、事前に遺伝子型を知っておけば防ぐことができます。今後の治療法を開発するうえでも、難聴遺伝子の解明が必要でしょう。また、実験的にですが、蝸牛(カギュウ)に遺伝子を導入する方法が開発されつつあります。蝸牛の細胞には、なかなか遺伝子が導入されにくく、今のところ、ウイルスを使った導入方法が中心となっています。ところが、ウイルス自体が蝸牛の細胞に障害を起こすこともあり、安全な方法で蝸牛に遺伝子を導入する方法の開発が待たれます。


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